一般社団法人日本福祉用具供給協会
トップページ > 福祉用具の日目次 > 福祉用具の日のこれまで > 2005フォトコンテスト入賞作品発表

2005フォトコンテスト入賞作品発表

福祉用具のある風景 フォトコンテスト入賞作品発表

審査委員長: 千野 直一氏(慶應義塾大学 名誉教授)
審査委員:
(五十音順)
木村 惠一氏(社団法人日本写真家協会常務理事)
清水 鳩子氏(主婦連合会参与)
中村 春基氏(社団法人日本作業療法士協会副会長)
厚生労働省担当者様
経済産業省担当者様
主催者代表

10月1日を「福祉用具の日」と制定してから、早くも今年の10月1日で4周年を迎える事となりました。その記念事業として昨年に引続き、“福祉用具のある風景”を題材としたテーマでフォトコンテスト2005と題した写真コンテストを行い、募集期間が短かったにも係わらず、全国各地より113作品の応募がありました。
全体的には、「車いす」をテーマとした作品が多く、又、福祉用具と家族のつながりを愛情豊かに表現された作品にあふれ、コンテストの趣旨が理解されていたと思われます。
最終審査に残りました58枚はどの作品も素晴らしく、入選作品の選考が大変難しい作業でした。写真撮影の技術はもとより、福祉用具を通じての生活観、又人とのふれあいを表現した作品を、審査員全員で1点1点慎重に論議し審査いたしました。
その中で最優秀賞を受賞したのは岡山県の花一彦さんの作品「福祉用具に感謝」です。老夫婦の外出風景をとらえた作品、奥様は脚が悪く電動車いすが無いと長時間の外出ができず、又ご主人は歩けるものの杖が必要、ご夫婦で常々福祉用具には感謝しているとのコメントが入っていました。頼れる福祉用具と老夫婦の仲の良さが感じられるナイスショットです。
厚生労働大臣賞は東京都の嶋崎眞治さん「よいしょ!よいしょ!」です。小学校1年生初めての運動会で、綱引きの先頭に入り、右手で車椅子のバランスを、左手でロープを掴み一生懸命引っ張る息子さんを撮った1枚です。先生の励ましと同級生との一体感が想像でき、用途に応じる車いすの活用が、厚生労働大臣賞にふさわしい作品です。
経済産業大臣賞は東京都の長田亰子さんの「動物大好き」です。月1回のリハビリを兼ねたアニマルセラピーとして、人の呼びかけに反応し、人なつっこい動作で応えてくれる“可愛いロボット”とお年寄りとの楽しい一時が良く表れ、年々進歩するロボット技術が人とのやさしさを尚一層、育む用具となりえる場面が、経済産業大臣賞にふさわしい作品といえます。
惜しくも上記3賞には洩れましたが、特選4作品、入選8作品、特別賞1作品のいずれも、福祉用具とのふれあいと家族愛に満ち溢れた作品ばかりでした。
特に徳島県の東路功さんの作品「一筋の芸」は19歳で左腕を切断しその後約50年義肢でのこぎりの目立職人を続け今でも後輩の指導をなさっている友人を撮られた作品です。義肢との永年の付き合いが芸(技術)として生かされている様子を捉えた作品が「特別賞」として選ばれました。
いずれにしても、福祉用具と人との交わりが写真を通じて福祉用具の普及・啓発ならびに福祉用具の発展と生活の豊かさにつながるコンテストであったことを感じました。
平成17年9月27日
「福祉用具の日」記念フォトコンテスト2005
審査委員長 千野 直一(慶應義塾大学 名誉教授)
審査後、委員でもある木村 惠一氏に、社団法人日本写真家協会常務理事の立場から、各作品への思いを寄せてもらいました
入賞作品
最優秀賞
◆「福祉用具に感謝。」 岡山県 花 一彦さん(60歳)
老夫婦の外出には福祉用具が必ず必要。このご夫婦も奥様は足が悪く電動車椅子が無ければ長時間外出できず又、ご主人も歩けるものの杖が必要。福祉用具に感謝している…と言っていた。
<木村惠一氏コメント>
妻の外出を気遣い、杖をつきながら同行するご主人はたとえ散歩であろうと身だしなみを整え、颯爽としていて長い年月連れ添った歴史と夫妻の絆を画面からみることができます。たとえ足が不自由でも福祉用具があればこその光景です。静かに人生を過ごす老夫婦の姿をしっかりしたフレーミングで撮影しました。
厚生労働大臣賞
◆「よいしょ!よいしょ!」 東京都 嶋崎 眞治さん(36歳)
初めての小学校の運動会での綱引き。担任の先生の見守る中、車いすから落ちそうになりながらも精一杯引っ張る息子、見ている側も力が入ってしまいました。
皆の力を合わせ、この勝負は勝ちました。た。
<木村惠一氏コメント>
障害を持つ子供達が運動会に参加できず淋しい思いをしたのは昔のこと。今では福祉用具と励ましの中で、皆元気一杯参加しています。車いすにしっかりと身体を固定し、綱引きに全力を尽くす姿に思わず「がんばれ」と声援を送りたくなります。望遠レンズを上手に使いローアングルでよい表情を撮影することが出来ました。
経済産業大臣賞
◆「動物大好き」 東京都 長田 亰子さん(62歳)
毎月1回のリハビリを兼ねてアニマルセラピー(ロボット)を実施しています。皆さん楽しく過ごし時間がたつのも忘れるほどです。
<木村惠一氏コメント>
アニマルセラピーは多くの施設で導入されているようですが施設内で飼育するには動物達の管理が大変です。そこで登場したのがロボット型愛玩動物。車いすに乗ったまま会話する方々が皆楽しそうです。毎日、日常的に話しかけられるロボット型愛玩動物や介護ロボットが施設に常設出来る日が早く来るよう願いたいものです。ロボットに話しかけられるお年寄りの楽しそうでいきいきとした表情を上手に捉えました。
特選
◆「きれいに写るかな」 徳島県 樋口 康男さん(57歳)
<木村惠一氏コメント>
電動車いすのおかげで趣味の写真撮影の行動半径も広くなり撮影用具もいろいろ持参する事も出来ますね。きっと写真の腕もめきめき上達していることでしょう。満開の花菖蒲を手前に配し撮影を楽しんでいる様子をいいアングルで撮りました。

◆「介助犬と共に」 京都府 中野 豊さん(57歳)
<木村惠一氏コメント>
障害を持つ方々の郊外のレクレーションなのでしょうか。介助犬と一緒に参加した方の表情も明るく楽しそうですね。介助犬のことでも会話もはずみます。ちょっとした瞬間の光景ですがすかさずローアングルをつかみました。

◆「春に誘われて」 秋田県 高橋 寿さん(47歳)
<木村惠一氏コメント>
春爛漫、満開の桜並木を往くファミリーが楽しそうですね。今年もまた花のトンネルを楽しめるのも家族の協力があってこそ出来るひとときです。望遠レンズも上手に使ってバックをぼかしファミリーの姿を浮き上がらせました。

◆「縁側にて」 熊本県 勝木 進さん(44歳)
<木村惠一氏コメント>
よく手入れされた庭を眺める二人の姿に長年連れ添ってきた夫婦の愛を見ることができます。二人にとって思い出の多いかけがえのない庭なのでしょうね。室内から難しい撮影条件ですが静かに時間が流れてゆく様子を室内からしっかりと写し出しています。
入選
◆「人にやさしいまちづくりはあたし達の手で」
愛知県 種井 武朗さん(71歳)
<木村惠一氏コメント>
体験してこそ障害を持つ人達の苦労や街づくりの不備などを発見することが出来ます。優しい奉仕の心を育むための車いす実習をする女子高生達の表情が明るいですね。この気持ちと体験を社会に出てからも忘れないで下さいね。

◆「八十一歳のバリアフリーマラソン」
東京都 箕輪 一夫さん(56歳)
<木村惠一氏コメント>
年々バリアフリーのマラソン大会も増えてきました。とても良いことですね。今年も母上と一緒に参加できる喜びを素敵な笑顔と共に撮影できて良かったですね。よく晴れたマラソン日和のスタート前の朝の光景がよく描かれています。

◆「これは、楽ちんだー!」 徳島県 藤沢 俊夫さん(60歳)
<木村惠一氏コメント>
車いす生活をする人にとって坂道は大変な苦労です。でも友達の電動車いすのサポートで電車ごっこよろしく連なって登る姿が楽しそうですね。でも、いつも楽しみにしている施設が坂の上にあるというのは障害者にとってちょっと辛いですね。

◆「ふれあい」 群馬県 若尾 秀次さん(44歳)
<木村惠一氏コメント>
先生と生徒の広々とした公園でのボール遊び。自転車も車もない芝生の上で誰にも気兼ねなく楽しむふれあいの様子を優しくみつめとても明るい雰囲気で撮影しました。

◆「いっしょにお遊戯」 大分県 坂本 智弘さん(42歳)
<木村惠一氏コメント>
運動会は子供達にとって一年で一番楽しみにしている行事です。車いすでの参加ですがお遊戯の他には何の競技に出たのでしょうか。赤いリボンを胸に元気一杯手を叩き皆と一緒にお遊戯する我が子の姿をしっかり記録することが出来ました。

◆「気持ちのいい朝」 埼玉県 片桐 勇治さん(43歳)
<木村惠一氏コメント>
朝霧の立つ施設の駐車場に出て胸いっぱい朝の空気を吸い込み、身体をのびのびと動かす姿に朝の清々しさが感じられます。今日も一日元気で過ごそうという姿には難しい霧の風景と共にとても上手に撮りました。

◆「坂道を。」 福岡県 宮原 典子さん(44歳)
<木村惠一氏コメント>
満開のあじさい寺を見物させたいと来たものの寺は階段や坂道がいっぱい。娘さん達も4人が力を合わせ、母も大満足の様子。楽しい一日だったのでしょうね。坂の上からのカメラアングルとシャッターチャンスがいいですね。

◆「夕陽の頃」 埼玉県 早川 英夫さん(62歳)
<木村惠一氏コメント>
海面を染めながら都会に夕陽が沈むお台場海浜公園の夕景は東京でもピカイチの美しい場所です。夕陽に浮き上がるレインボーブリッジと屋形船が新旧の東京の姿を見せてくれます。車いすを押し、親子で夕景を眺め会話する光景に詩情が感じられます。
特別賞
◆「一筋の芸」 徳島県 東路 功さん(74歳)
<木村惠一氏コメント>
製材用の帯鋸の目立作業を不自由な義手をものともせず仕事に集中する姿に熟達職人の姿をみることができます。危険な作業場に入り緊張した瞬間を優れたカメラアイで捉えることが出来ました。